コアさんの戯言

大崎甘奈ちゃんとか競馬とかポケモンとか雑多なお話

コントレイルを語る

なんだか今日はこの馬について書きたくなったので書きます。鮮明に残っている今のうちに。

 

「2歳」

東スポ杯はこの馬のベストパフォーマンスとも言われるレース。2着に5馬身も付けてその2着馬もまた4馬身。これがダービー馬にならないなら何がダービー馬になるんだよと思わせるレースだった。

 

3戦目にして挑んだG1ホープフルステークスは、勝手ながら負けるならここと思っていた。血統を見てもパンパンの府中が絶対に合う。暮れの中山では舞台としてはあまり良くないだろうし、どちらかというと流れてスピードの問われる皐月賞の舞台でいっぱい買ってやろうと思ってた。

……ところがあっさり勝っちゃった。いやいや、ちょっと予定が違うんだけどって話。私のオーソリティはどこよ、これが中山で走らなかったらどこで走るんだい。オルフェ×母父ボリクリって中山最強だと思うじゃん。

 

正直、この時点で2冠持っていかれたな~って気はしていた。この舞台で勝たれたら流石にね。でも、コントレイルのする先行してあっさり抜け出して勝利って競馬は強いんだけれども、正直言って派手さはあまり無いんだよね。とにかく競馬も気性もなんか優等生って感じイメージだった。

 

「3歳」

『東西の!G1馬が!並ぶ!!』の皐月賞。あの実況、何気に好きなんですよね。ただ、当時は特にコントレイルが好き、サリオスが好きってわけではなかったので私は「おお!!すげー!!」って最後の攻防を見ていた気がする。もう最高に熱い叩き合いだったね。

ちなみに収支メモを見ると馬券はサトノフラッグとヴェルトライゼンデから買っていたらしい。たぶん馬場が渋っていたからでしょう。

 

二冠のかかる日本ダービーは流石にって感じ。皐月では逆らってもここでは逆らえない。おまけに3枠5番とディープインパクトのダービーと同じ枠番だし。

外を回して迫ってきたサリオスもそうだけど、それ以上に何よりもコントレイルが強かった。個別ラップは最後まで加速していたみたいだし、この馬の抜けたスピードを改めて感じた。2020年は本当に秋競馬が楽しみだった。

 

神戸新聞杯は一夏を越えて成長が云々言われていたけども楽々とパス。

 

迎えた菊花賞。前の週ではデアリングタクトが初の無敗にて牝馬三冠を達成。

当然ながらコントレイルも父以来にして親子初による無敗三冠を期待されていた。おまけ扱いになるのもおかしいけど、同一年の牡牝無敗三冠とかいうゲームでしか達成できない記録も地味にかかっていた。

 

初の3000m、道中アリストテレスから受けていたプレッシャー、それでも直線に向いた時には先頭。競馬場は拍手でコントレイルを迎えて、テレビの前の私も同じだった。いつもの先行競馬からの押し切りで勝つ……きっと誰もが思っていた。

 

「コントレイル苦しいか!?」

 

その実況でいつもと違う展開と空気の読めないフランス人が迫っていることに気付いた。

同時に「まずい、負ける」という思考が頭を巡ったのを鮮明に覚えている。脚色を見ても仕掛けのタイミングを見てもアリストテレスが優勢。それでも先頭に立たせまいと凌ぐコントレイル。

そんな中で咄嗟に自分の口から出たのは「残れ!頼む!残れ!」って言葉で、初めてコントレイルを応援したと思う。これまでただの優等生だと思っていた二冠馬が、最後の最後に根性を見せて走っている。この姿を見て応援できない訳がなかった。

ギリギリの競り合いを制して掴み取った三冠は、かつての三冠馬のように楽勝では無かったし、クラシックの中でも一番苦しんだ展開だったけども、一番価値のある勝利だったと思う。

終わった頃には、勝たなくてはいけないレースを勝ち切った優等生のファンになっていた。

 

「世紀の一戦」

無敗の牡牝三冠馬とG18勝の現役最強三冠馬が揃ったジャパンカップ

レースが始まる瞬間まで本当に楽しみで仕方なかった。始まって欲しいけど始まって欲しくない。そんな鬩ぎ合いの中で私が本命にしたのはコントレイルだった。

 

ウェイトゥパリスの長時間のゲート入りイヤイヤに日本の競馬ファンが早くしてと言っていたと思う。欧州競馬も欧州馬も時間通りにレース開始できないみたい。

 

ようやく発走されたレースは、スタート後にキセキが抑えられずに大逃げをした体制のまま直線に入った。3強のうち1番前にいたアーモンドアイがいつもの競馬で先頭に立つと後続が一気に襲い掛かってくる。その中にコントレイルもいた。いつもとは少し違う差しに回る競馬だった。そこからはコントレイルだけをずっと見ていた記憶しかない。

「頑張れ!行ける!コントレイル!」って言うなんて半年前まで思ってなかっただろうな。結果は届かずの2着。勝ち馬はアーモンドアイ。先行して抜け出して速い脚を使うっていう強い競馬の前では上がり最速の末脚も届かなかった。

 

自分が夢を託した本命馬は負けたけど、それでも3強で決まったジャパンカップは凄く楽しくて、素晴らしいレースで、競馬が好きで良かったと心から思ったのを今でも覚えている。

 

 

大阪杯天皇賞秋」

大阪杯

 

前年のマイル女王グランアレグリアも参戦してきた大阪杯は生憎の雨。ディープ産駒の最速を決めるレースだってのになんで雨なんかな…とテンション下げ下げで当日はいた。

レースはここまで無敗のレイパパレの逃げ。ペースは前半59.8と明らかなハイペースで確実に潰れると思っていた。コントレイルとグランアレグリアは4角を2列目で通過し、さぁここから!と思うも伸びがない。なんとか頑張ってと思うも、勝ちに行った早仕掛けの分もあってモズベッロに差されての3着。勝ち馬は逃げ残ったレイパパレ。

 

なんかもう誰が悪いわけでも無いのに何なんだよこれ…って感じだったよ。ほんと水を差された、そのまんま。

とはいえ負けてしまったからには、もう勝つしかない。でも、次に使う古馬G1は恐らく宝塚記念。開催時期も伴って雨だしタフだしコントレイルにとっては最悪のコンディションでどうするんだよ…って思ってたら春全休。しかもそういう時に限って晴れの良馬場とかツイてないなぁ。

 

天皇賞(秋)

引退まで残り2戦となり、皐月賞馬エフフォーリアと再度グランアレグリアとの対戦。

 

馬場はなんとか良で開催ということもあり、三冠馬の期待も威信も賭けてもう負けられない。おまけに枠としては有利の1番。

逃げ馬不在のスローペース、2番手にグランアレグリアが付けてレースが進んでいった中、直線で先に仕掛けたのはエフフォーリア。コントレイルもそれを見て仕掛ける。直線の攻防、グランアレグリアを差すもエフフォーリアとコントレイルの差はどうしても詰まらない。もう少し、あと少し、頼む!と懇願するも届かずの2着。

どちらが強い競馬をしたかと聞かれたら文句なしにエフフォーリアだった。はっきり言って完勝で完敗。厳しいことを言うかもだけれど、あと50mあっても届いていなかったと思う。

 

この時点で昨年のジャパンカップから3連敗。そして、ラストランは同じジャパンカップ三冠馬としてディープ後継として絶対に負けるわけにはいかなくなった。

 

「さらば、コントレイル」

ラストラン ジャパンカップ

キセキが道中で一気にポジションを上げたところからレースが締まる展開に。奇しくも昨年と同じ先頭キセキの大逃げで直線を迎えた。

先頭を捕らえるべく仕掛けたフランス人と応えるオーソリティ。その後ろから狙うシャフリヤ―ルとさらに外から末脚を伸ばすコントレイル。

 

残り300m、これまで差し届かずだった末脚とは見違えた加速力で一気に迫った瞬間に「コントレイル!!行け!!!」って思わず口から出た。たぶん、今までで1番大きい声だった。競馬場にいるかのようなバカみたいな大声だったよ。

これまでの鬱憤を晴らすように。

同期の不振、勢いに乗る3歳馬、2400mの距離、囁かれた不安なんて露知らず。

2馬身差の完勝だった。

 

もう泣きながらゴール板を過ぎる姿を見ていたよ。最後の最後にしっかり決めた。勝たなくてはいけないレースを最後に勝ち切った。やっぱり、優等生な三冠馬だなって。

 

「空に描く衝撃の軌跡」

競馬を見始めて歴が浅いからなのかもしれないけれど、これほどまでに重圧を背負った人馬を私は初めて見た。無敗の三冠馬であること、そしてディープインパクトの子どもであることがこれほどまでに重いものかと嫌でも分からされた。

それでも、最後まで走り続けて三冠馬として、ディープの子として素晴らしい軌跡を残した。このスピードが受け継がれるか、精神面が受け継がれるか分からないけれども、衝撃もその軌跡も超えるような子がターフで駆け抜けるのを楽しみにしている。

 

ありがとう、コントレイル。